皐月フール

春の嵐吹き荒れるこんな日に部屋の掃除をした
晴れたり雨が降ったり風が強かったり
子供の頃庭に植えてあった桜の木を思い出すよ
大きなその木は大きな花が咲いて
この時期はとても綺麗だったっけ

今はその木は枯れてしまったけれど
あの桜の木の美しさを忘れない
亡き人を思い出すように
春の日だまりを思い出すように

例えそれが愚かな行為だったとしても
例えそれが若さゆえだったとしても
バカなくらいがちょうどいい
一生懸命になれないのなら
頭のいい振りなんていらない

雨上がりの午後は風が強かったけれど
いつもより少しだけ空気が澄んでいて
まるで片付いたばかりの部屋の空気みたいだな
どこかから桜の花びらが飛んできていたけれど
きっとこれはあの桜の花弁じゃないって
そんなことはわかっている
透き通った空を眺めてたら
そこには希望も絶望も浮かんではいなかった
そんなことはわかっている

バカみたいな五月色の世界

for m

美しいものだとか
醜いものだとか
そういうことじゃなくて
そういうものじゃなくて

僕と君を形作っている
あらゆる存在に
あらゆる愛情に
あらゆる過去と涙に

元気でいますか
時々は笑えていますか
生きることに疲れ果て
なげやりになってはいませんか

誰かのために
自分自身のために
君のために
明日のために

止まらない今と
止まらない流れと
いつか止まってしまう鼓動と

変わらないように見える世界
変わってしまったように見える世界
失うものと引き替えに得たもの
きっとそのどれもが現実で
どれもが自分だけのもの

僕は僕を僕のために形作り
君は君を君のために形作る
強引で
理不尽で
曖昧で
それはまるで
あの雲みたいなこころ

届かない透明

そこにあって、目に見えているのに
私にはさわれない
手を伸ばせばすぐ届くような気がして
無意識のときは手が勝手に動いてしまう
届かない、透明

素晴らしい世界

誰かが幸せでありますようにとか
誰かのために生きたりとか
そういうことも大切だけど
何より自分が幸せで
何より自分のために生きられないと
そういったこともできなくなるんだろう

辛いことばかりでもないけれど
楽しいことばかりでもない
ミスチルも言ってた
「いいこと49いやなこと51の比率」
それでもなんとか歩いてさえいれば
いつかいいこともあるはずで
我慢した涙で今は視界がぼやけても
それが消える頃にはきっと
新しい世界が見えるんだって
そう自分に言い聞かせている
素晴らしい世界

ナツズミ

夏の夕暮れが好きだ
昼間はあんなに暑くて嫌なのにな

少しまだ暑くて
でももう我慢できない程じゃなくて
春や秋の過ごしやすさに似ていて
もうなんかどうでもいいやと思わせる
そんな夏の夕暮れが好きだ