影

昔のことを考えていた。
楽しかったこと、苦しかったこと、幸せだったこと、逃げ出したかったこと、
辛かったこと、好きだったこと、嫌いだったこと、悲しかったこと、
そんな色々なことを思い出していたら、
何故か涙が溢れて止まらなくなってしまった。

常に最善の選択が幸福に繋がるとは限らないことを知ってしまったあの日。
後悔している訳ではない。
あんな日々に戻るなら今の方が断然マシだ。
でも、我慢したことがなかったとも言い切れない。
流れてしまった後で、
きっとこの涙にはそんな感情が入っていたのだと気付く。

手に入れたものと失くしたもの、
合わせて０になるという考え方は悲しいけれど、
それだけ失うものは多いということなのかもしれない。
それでも前を向いて歩いていかなければ、
いつになっても先に進むことはない。
たとえ、その後ろに影ができようと。